石油ランプ(バーナー)へ空気を送り込む音。炎の温度を感じ取り、匠の手が舞う。迷いのない技。やがて色とりどりのガラス生地棒が、和泉の伝統工芸品に形を変える。先代から伝わるトンボ玉(貫通穴があるガラス玉に様々な模様のガラスや箔などを象嵌した玉)を仕上げていくあらゆる技法が基本となり、ひとつひとつ匠の技が込められています。私たちは、代々伝わる技法と美しくも可愛らしい”いずみガラス”を決して絶やさないよう、多くの方に伝え、届け続けたい…。
ガラス細工に欠かせない素材の一つ、ガラス生地棒。工芸品として完成したガラス細工を匠の品として目にすることが多いですが、ガラス生地棒もまた和泉の匠により作られています。素材の匠から渡される細工の匠へのバトン。ふた手の紡ぎが”いずみガラス”を仕上げています。
そしてそのガラス生地棒とバーナーを使い、匠の手により繊細なガラス工芸品が生まれます。
1回で10m以上の細長いガラスができます。これをヤットコという鉄製のはさみで一定の長さに切りそろえ、ガラス細工の生地棒が出来上がります。
巻き取ったガラスの形をリンと呼ばれる鉄製のボールで整えながら、さらに溶けたガラスを巻き付け大きくしていきます。
巻き取ったガラスをレンと呼ばれるレールの上に棒状に引き伸ばしていきます。これはガラスを引くという工程で温度が急激に変化するため一気に引き伸ばさなくてはなりません。
混ぜ合わせた原料をるつぼの中に入れ、400度から1,300度の熱でおよそ12時間かけて溶かし飴状にします。真っ赤に溶けたガラスは、ホウトウという長い鉄の棒で巻き取られます。
ガラスの主原料は、炭酸ソーダ、石粉、鉛などがあり、これに色をつけるための材料を混ぜ合わせて作ります。
木枠にはめたまま、乾燥棚に移動させ乾燥。ディッピング、乾燥の工程を数回繰り返し完成となります。
少し揺すって空気を抜いた後、ゆっくりと取り出します。
準備ができたら原玉を塗料につけます。この作業は、ディッピングと呼ばれています。ムラができないようにゆっくりと塗料につけていきます。
塗料につける前に原玉の間隔をヘラやローラー機で調整します。塗料で玉同士がくっつくのを防ぐためです。
次にこの針金を何本も木枠にはめます。この木枠1枚でおよそ1,400個の”いずみパール”が作られます。
ガラスやプラスチック、どぶ貝などの原玉に真珠質の塗料をかぶせて作られます。一度にたくさん製造できるよう、原玉はまとめて針金に通されます。